「よし、じゃあ襲名ということで、お前に新たな名前をくれてやる」

「いっいいですよ。ややこしいことになりますから」

「それで? お前、名前なんだっけ?」

おぉ主よ、やっとこの日を与えてくださったんですね。

心の底から感謝します。

ラーメン……食いてぇ!

こうね、キャベツとニンジンの千切りに、もやしをプラスして塩こしょうで炒めてさぁ。

コクのある鶏ガラベースのスープを鰹か何かで引き立てて、太麺に絡めて食う。

「おい、シカトか~ぁっ!?」

「美味しかとですバイ。多分」

沸き上がったツバをゴクリと飲み下し、垂れてもいない涎を右腕で拭った。

「よぉよぉ、テリー。調子に乗るのはいい加減にしとけよ?」

「のっのののっ乗ってなどおりませんが……」

組長俺の名前覚えてるし。

だったら聞くなよぉ。

ブルッブル震えながらも目をそらしたら終わりだと思って、俺は組長を見つめ続けた。

と、急に組長は頬を赤らめる。

「よく見ると、いい男」

キモッ!

「もっと品のある名前にしよう!」

「しゅっ襲名って、組長の名前をくれるんじゃないんですか?」

って意見した俺を

「名を襲うと書いて襲名だ! そのモヒカン、いい感じじゃねぇか。惚れ惚れする」

メチャクチャなこと言ってたけど、モヒカンを誉められて悪い気はしない。

やった……俺は多分、組長のモヒカンになるんだ。

やった~~~~~~。

「決ぃめた~ぁ!! モカヒンでいこう!!」

「モッモカ……」

組長の発表を聞いて、俺は愕然とする。

何故だ! 何故モヒカンじゃない。

「どうだ? 品があるだろう」

マジで、名前を襲われた………

でも文句言ったら、マジで身体も襲われそうだし、

「はい。もういいですそれで」

仕方なく涙を飲んだ。