遼は立ちすくんだ。



何故か。
目の前に人間が落ちて来たから。

何故人間が落ちて来たのか。
判らない。

何故判らないのか。
それも解らない。


「肝心な時に役立たずな脳みそだな」
そんな声が聞こえる気がする。
仕方ないじゃないか。血塗れの人間が空から降ってきたんだから。

仕方ないじゃないか。
ソイツが自分が殺した筈の人間だったのだから。


そこで楠木誠の思考は停止した。



それがこの話の始まり。

それが楠木誠の終わり。



そんな話。