翌朝俺を起こしたのは、聞きなれた目覚ましの音でも美生の澄んだ声でもなく、大きな腹の虫と共に訪れた空腹だった。



「……飯食ってねえんだった」



布団から抜け出し、リビングへ向かう。



「……!」



リビングの扉を開けようとしたとき、その向こうから音がしていることに気付く。



部屋を出る際に見た時計は、6時を指していた。

そんな朝早くから起きて、まさか──



──ガチャ……

扉を開けて、目を見開いた。

だってそこにいたのは、



「あ、千速くん!おはよ!」



昨日までと変わらない美生がいたから。



「お、おはよ……」

「昨日は家事出来なくてごめんね。今日からまた、ちゃんとするからね!」

「……あぁ」