涙の跡が、渇いた心を締め付けた。



──『千速くんにはまだ、しなきゃいけないことが沢山あるよ』

ついさっきそう言った、美生の姿を思い出す。



「なんで……こんな気持ちになるんだよ」



他人のことなんて、どうでもよくて。

自分のことさえ、どうだってよくて。



──なのにどうして、こんなにモヤモヤしてるんだ。



「……あんなこと言いたかったわけじゃない」



美生の哀愁漂う顔を思い出しては、幾度となく自己嫌悪に陥って。

どつぼにはまって、抜け出せない。



結局いつも、堂々巡り。



「あー……もう」



わしゃわしゃと頭を掻いて、目を瞑る。

何も考えないようぎゅっと目を閉じて、意識を手放した。