この家は俺にとって、孤独を感じるだけの苦しい場所だと思っていたのに。



「……自分でさえ自分を理解出来ないなんて、救いようがねえな」



自嘲気味に笑い、肩に掛けていたタオルで頭を拭いた。

そのとき、美生の存在を思い出す。



「そうだ……晩飯」



はっとして、慌てて時計を見ると、既に7時半。

普通の人間なら、腹を空かせる時間帯だ。



「……起きてんのかな」



カーテンを閉め、美生の部屋へと向かう。

と、美生の部屋の扉が少し開いていた。



お互いの部屋には無断で入らないという約束だ。

だけど、空いていた場合はどうする。

中が見えても仕方ない、不可抗力だ。