家に帰ると、いつもは俺を出迎える笑顔が、今日はなかった。



「……そっか、体調崩してんのか」



朝見た美生の姿を思い出し、納得する。

リビングには寄らず、直接脱衣所に入り服を脱いだ。



「……寒」



何もする気になれないけど、10月にもなれば気温も下がるし、そのままでいれば間違いなく風邪を引くだろうな。

気怠い体を奮い立たせて、俺は浴室へと足を踏み入れた。





シャワーを浴びてリビングに足を踏み入れると、言葉では表せないような脱力感に見舞われた。



「……」



自宅という馴染んだ場所に、漸く肩の力を抜くことが出来たんだろうか。