『これだからお前は……!』

『自分がしたことの重大さをわかってるのか!』

『5日間の自宅謹慎!その後、今後の処分を言い渡す!』



担任と学年主任の言葉が脳内に蘇る。

俺にはもう抗う気力も残っておらず、ただその言葉を聞いていたんだ。



雨に反射する車のライトが、やけに眩しい。

もし、道路に飛び出せば……ここで、全てを断ち切れば──



「もう……いいか」



小さく呟き、車が行き交う道路に一歩を踏み出そうとした刹那、



「……傘」



傘を返すと言った芹沢の姿を思い出した。



傘なんて大したことない。

死ねば、傘なんて関係ない。

だけど、



「……っ」



もしかしたら芹沢は、傘を返せなかったことを一生悔やむかもしれない。

一生、背負い続けるかもしれない。

こんなの、自意識過剰かもしれねえけど。