俺の言葉を聞くなり、はっとして言葉を詰まらせる。



「……美生?」

「あ、……ごめん、ぼーっとしちゃってた……。ごめんね」

「いや……それはいいけど。風呂沸いてる?」

「ごめん、まだ……」

「じゃあ取り敢えずシャワー浴びてくるわ」



鞄を玄関に下ろし、風呂場へと向かう。

ちらっと横目に見た美生の表情は少し強張っていたけど、その理由を追求することはなかった。





風呂からあがった後もご飯を食べた後も、美生は口数がいつもより少なかった。

それどころか、眉間に深い皺を刻んで難しい顔をしている。



「……千速くん、もう寝るね。おやすみ」



そう言ったときも、表情は少し固くて。



「俺ももう寝る。おやすみ」



ぎこちないまま、それぞれの自室へと向かった。