「でさぁー、パパがそれを踏んじゃってー」

「来週生物小テストじゃん。勉強してねぇ」

「ねぇ見て、こんな衣装よくない?」



教室を見渡してもみんな、楽しそうに笑っている。

青春を謳歌している、まさにそんな光景。



「……くだらねー」



そこに、俺の居場所はない。

俺は1人、過去に囚われたまま。





「あ、雨だ」



誰かが唐突に言ったのは、下校時刻まで、残り30分を切ったときのことだった。

みんなが一斉に視線を窓の外に移す。

と、確かに窓の外にはどんよりした厚い雲がかかっていて、雨が激しくガラスに打ち付けている。