「……」

『栞菜さんも管理栄養士になるべく第一歩を踏み出されたばかりの頃だったので、どうなるやら……と、勝手に心配していたのですが、どうやらその必要はなかったようで、お2人はいつも幸せそうにお互いの隣に立っておられました』

「……っ」



幸せそうに見えてたんだ……俺。



桜井に出会った頃、栞菜とはまだ挨拶を交わす程度だった頃、俺の世界には闇しか存在しなかった。

幸せなんて俺には訪れないって……ずっと、そう思ってたんだ。

けど、違うんだよな。

大切な人や守るべきものが増えると、知らず知らずのうちに手元に溜まってくるものがあって、人はきっと、それを幸せと呼ぶんだろう。



それに気付くことが出来たのは──過去、そして、未来で笑う君がいたから。