もしかしたら、向き合うことから逃げていただけだったのかもしれない。

俺も……父さん達も。



「……本当におめでとう。いつまでも幸せにね」

「……うん。ありがと」



涙が溢れそうになり、咄嗟に顔を逸らす。

バレてないと思ってたけど、彼女には気付かれていたらしい。



「また……新居にもいらしてくださいね」

「えぇ、楽しみにしてるわね」



2人の笑顔に胸を撫で下ろしながらも、俺達は新婦側の親族の元へと向かった。





『次に、新郎新婦の高校時代からの友人である桜井様より祝辞を頂戴いたします』



司会者が桜井の名前を呼ぶと、桜井は席についたまま軽く一礼し、その後立ち上がって出席者に対し再び頭を下げた。

その後、用意されたマイクの前へ移動した。