淡いピンク色のドレスを身に纏った彼女をエストしつつ、テーブルを回り一人ひとりに渡していくことになっている。

初めに主賓のテーブルで上司に挨拶をし、次に来賓のテーブルに向かうと、礼服に身を包んだソイツはニヤニヤと笑っていた。



「……何笑ってんだ、馬鹿桜井」

「えー?笑ってへん笑ってへん」

「いや、さっきからずっと笑ってたろ。高砂から見えてたぞ」

「あ、バレてた?」



いつも通りの桜井から視線を外し、その隣に座る相川に目を向ける。



「この後の余興、何やってくれんの?」

「それ、今言ったらつまらないだろ」

「そうだけど」



俺達のやり取りを聞いていた彼女が、隣でクスクスと笑った。

それを見た桜井は、感慨深そうに腕を組む。



「いやー、でもまさか2人が付き合って結婚までするとはなぁ。予想もしてなかったわ」

「それは俺も思った」