この胸に抱えた痛みを思い出に変えて、俺は少しでも強くなれたのかな──。





『──それでは、幸せいっぱいの新郎新婦の再入場です』



大きな扉の向こうで、俺達の登場がアナウンスされる。

組んだ腕に力が込められ、俺は視線をそちらに向けた。



「……まだ緊張してる?」

「う、うん……」

「はは、俺も」



ぎこちなく笑い合い、ゆっくりと開かれた扉の向こうへと足を進めた。

盛大な拍手が俺達を包み込み、会場全体に祝福のムードが漂っている。



階段を降り2人で軽く頭を下げた後、係の人から花を受け取った。