60年越しの想いを、小さな体で背負って。



「おばあちゃん達クラスメートはみんな、生前の千速くんと関わることが極端に少なかったから、千速くんが亡くなった経緯とか……何もわからなかったらしくて。正直私も、千速くんがこの時代の今日死んでしまうことくらいしか知らなかったの」

「……うん」

「だから……千速くんが過去を打ち明けてくれたとき、涙が止まらなかった。私が同じ立場でも、死にたいって思ってしまうかもしれないって」

「そんなこと……!」

「本当だよ。強い悪意に耐えられる自信なんてないもん」



もしかしたら……いつも強く見えてた美生の姿は、彼女の強がりだったのかもしれない。

俺が死ぬことを知ってたから、強く在ろうとし続けてくれたのかもしれない。



「敵意や悪意によって世界は簡単にひっくり返ってしまう……それは千速くんがよくわかってることだと思う」

「……っ」

「でも世界はそれだけじゃないこと、千速くんはもう知ってるよね?」