美生が全てを知って動いていたのなら、今までの意味深な言葉や言動の説明がつく。

この時代のものを知らなかったことも、俺のいないあの写真も……。



「流石にもうわかるよね。おばあちゃんの初恋の人はあなた──千速くんだって」



カチ、と、自分の中のパズルがピースがハマった音がした気がした。

美生の話が本当なら、美生が生まれた世界の過去で、俺は今と同じように死を選択し、それを実行した……ってこと……。



「大阪から来たってのは……」

「ごめんね、嘘。生まれも育ちも、ずっとこっち」

「じゃあ今日帰るってのも、嘘……?」

「……うん。千速くんがここに来ない可能性もあったから」



結局来ちゃったけど、と語尾に震える声で付け足される。



「別にね、千速くんの自殺を止めて、おばあちゃんを好きになってもらおうとか、そういうのじゃないの。恋愛感情なんて誰かが操作出来るものじゃないし」