高3の秋……?

おばあさんの母校って、うちの高校だったよな……?

俺より先に、ここで死を選んだ人がいたってこと……?

でもそんな話……一度も聞いたことねぇ……。



「結局おばあちゃんはお見合いした人と結婚して、お母さんを授かったの。少し前に死んじゃったおじいちゃんは優しかったし、おばあちゃんと仲良かったけど……やっぱり初恋って特別だから」

「……」

「その人が死んで60年近く経っても、想いを伝えられなかったことを後悔してるって言ってた」



このタイミングでおばあさんの初恋の話をする美生の意図が読めず、困惑しっぱなし。

何より、頭の中を整理することに必死だった。

そんな俺を余所に、美生は顔を歪ませながら、諭すように話を続ける。



「千速くん、まだわからない?」

「……?」

「おばあちゃんの初恋の人が亡くなったのは、2015年11月7日──つまり、今日」