「おばあちゃんってね、孫の私から見ても本当に可愛いの。この前掃除してたときに見つかった昔の日記に挟まってた写真なんて、アイドルか!ってくらいだし」

「……」

「でも人見知りで男の子が苦手だったらしくて、中学時代なんて殆ど話さなかったんだって」



目を伏せて穏やかな口調で紡がれる言葉は、美生にとって本当におばあさんが大切なことを物語ってる。



「そんなおばあちゃんもね、高校3年生のときに恋をしたんだって」

「……初恋?」

「うん、そう」



わからない。

何故俺はこんな話を聞いてるんだ。

今から死ぬ筈だったのに、何で人の初恋の話なんか。