その口ぶりは、まるで俺がここに来ることを初めからわかっていたような。



「……なんて。いきなり聞いてもわかんないよね」



びゅう、と強い風が吹いて、高い位置で結んだ美生の長い髪を靡かせる。

それは沈む太陽に照らされて、とても綺麗に見えた。



「……私のおばあちゃんね、お見合い結婚したの」

「……は?」

「いくつのときだって言ってたかなぁ、ちょっと忘れちゃったんだけど。とにかく、お見合い結婚なの」



いやいやいや、ちょっと待って。



「いきなり何の話……?」

「私の大好きなおばあちゃんの話。それでね、」



あぁ、会話が成り立たない。

動揺を抑えることが出来ないまま、取り敢えず美生の次の言葉を待った。