最後の一段を登りきって、ドアノブに手をかけた。

開いたその向こうに広がっていたのは、切ない程に綺麗な茜色の空。



「……血みたいだな」



今はそれすらも清々しい。



「死んだら……苦しむこともねえんだ」



もう、こんなに痛い思いをしなくていい。

全てから解放されて、楽になる。

だったらもっと早く、この道を選ぶべきだったんだ。

そしたら、拓也の今を知ることもなかっただろうに。



「……俺の心も体も、アイツが殺したんだ」



その事実を、一生背負って生きていけばいい。