自分でもわかるくらい、低く冷たい声。

そんな俺に、美生もまた引き下がらなかった。



「何年も、ってことは……楽しいって感じたこともあるってことだよね?」

「……」

「どんなときに感じたの……?」



ズキン、と胸が痛む。

どんなとき……か。



「昔過ぎてもう忘れたよ」



突き放すような俺の言葉に、美生はもう何も言ってこなかった。





近くのショッピングモールで、美生の服や生活用品を最低限揃えた。

悪いよ、と最後まで遠慮する美生に何を今更、と言うと、彼女は申し訳なさそうな顔をして、レジへ向かう俺の後ろをとことことついてくるのだった。



「今すぐ必要なのはこれくらい?」

「うん」

「買い忘れがあったらまた来ればいいか」