「千速って……え?」



目の前で繰り広げられている状況を飲み込めないでいる相川は、吃驚したように俺と拓也の顔を交互に見ている。



「さっきの試合でセカンド守ってた……M高校の人……ですよね?綾瀬と知り合い、なんですか……?」



……セカンド?

守ってた……?



「……えぇ……まぁ」



気まずそうに頷いた拓也が、横目に俺を見た。

身に纏うユニフォームは土で汚れている。



「……どういうこと?」



無意識に、腹の底から低い声が出た。

それを聞いた相川が更に驚いた顔を浮かべたのに気付いてはいたけど、止められるわけなんてなくて。



「お前……野球続けてたのか……?」