「俺が……いない……?」



吸血鬼の姿をして困り顔で笑う俺の姿が、どこにもない。

俺の手を引いていた桜井も、両手でピースをして、写真のど真ん中で笑ってる。



「……俺がいない間に撮った……とか?」



そんなわけ……ない。

俺と桜井はずっと一緒に行動してた。

俺抜きで写真を撮る時間なんて、どこにもなかった。



「意味、わかんねぇ……」



撮れる筈のない写真。

いる筈の俺がいない写真。



どうしてこんな写真が存在するのか。

何より何故、これを美生が持っていたのか──。



摑みどころのない美生への不信感が、確かに生まれてしまった瞬間だった。