「返事、聞かせてもらえる?」



俺が答えを促すと、彼女は涙を流しながら首を何度も縦に振った。



「これ、夢じゃない……?」

「そんなの俺が聞きたいよ。幸せ過ぎてどうにかなりそうだ」

「私も……。高校生のときは、千速くんと付き合えるなんて思ってなかったし、ましてや結婚なんて……」



涙で顔を濡らす彼女の左手を取り、指輪を薬指に嵌める。



「嬉しい」



そう言った彼女の笑顔は、後ろに広がる夜景よりずっと綺麗で。

少しだけ、“あの子”と重なって見えた。





なぁ、どこかで見てる?

俺今、幸せだよ。

約束した通り、幸せになったよ。