「ち……はやく……」

「……ただいま」



昨日はお互いにお互いを避けていて、一度も顔を合わすことがなかったから、すごく久しぶりに会ったような感覚。

どうしようもない愛しさが胸にこみ上げてくる。



「……おかえりなさい」



美生は読んでいた本をパタンと閉じた後、机の上にそれを置いて、立ち上がった。



「お腹……空いてる?今日は生姜焼き作ったんだけど……」

「……うん」



どこかぎこちない会話に居心地の悪さを感じつつも、何もなかったかのように言葉を交わす。

キッチンに向かった美生も、少し遠慮がちだった。



「……昨日も、飯作ってくれてた?」

「……うん、まぁ」

「……ごめん、食べなくて」

「……ううん、大丈夫だよ」