美生がくれた言葉や時間は、俺の生きる糧になるには十分過ぎて。



「明日は文化の日で休みだからな、間違えても学校に来るんじゃないぞー」

「っしゃ、明日休み！」

「騒ぐのは後にしろー。じゃあ委員長、号令かけて」

「起立ー」



委員長の掛け声と共に、みんなが一斉に席を立つ。

半ば放心状態で、俺も腰を上げた。





桜井と相川と昇降口へ向かう。

2人は何やら昨晩のお笑い番組の話で盛り上がっているみたいだけど、俺はただ2人の隣を歩くだけだった。



「あっ、相川先輩！」



どこかで聞いたことのあるような声に、一斉に振り向いた俺達。

そこに立っていたのは、この前、ちょうどここで相川と話していた野球部の後輩だった。

ソイツは相川の顔が見えるなり、笑顔でこちらに駆け寄ってくる。



「お疲れ様です、先輩！」