電話の向こうの桜井は、俺が言わんとしていることを感じ取ったらしく、



『パーっと遊びに行こうや』



何も聞かないことを選択した辺り、やっぱり桜井は桜井だった。





落ち合う約束をした駅前には、既に桜井の姿があった。

俺の姿にすぐに気付いた桜井は、いつも通りの笑顔を見せる。



「……お待たせ」

「俺も今来たとこ。もう飯食った?」

「……まだ」



朝ご飯を食べていないのに、不思議と空腹は訪れない。

腹の虫が鳴るくらいなら……寧ろ気を紛らわすことが出来たのに。



「なんか食べたいもんある?」

「……いや、特には」

「じゃあ、好きなもんは?」