「……」



美生は固く口を閉ざして俺から視線を逸らしたまま、動かなくて。

感情のストッパーは、とっくに壊れた。



「俺は……っ!美生に出会って、救われたんだ……!真っ暗な世界で、もう一度立ち上がろうって思わせてくれた!美生が今の俺の生きる意味で……だから……っ!」

「!」



もう止まらない。

止められない。

感情がぐちゃぐちゃだ。



「俺はお前が──!」

「──言わないで!」



漸く口を開いた美生の、悲鳴にも似た制止の声が部屋に響く。

やっと、視線が絡み合った。

だけどそれは、俺が望んでいたものじゃなくて。

目に大粒の涙を溜めて、耳を両手で塞ぐ美生は、傷付いた表情を浮かべていた。



「ごめん、それ以上は聞きたくない……」