「でも……どこかでまた会ったりとか……」



うんって頷いてほしかった。

いつもみたいに笑い飛ばしてほしかった。



──なのに。



「もう会えない」



小さく首を振って、僅かな希望さえも打ち砕く。



「……帰ったら、海外に行くの。空を飛んで、海を越えて。千速くんの知らないような場所で、私は生きていかなくちゃならない」

「それでも!今時、連絡とるくらいは──!」



待てよ、意味わかんねえよ。

当然のことに頭がついていかない。

ただ、自分の声が震えていることだけははっきりと理解出来た。



「……初めのルール、覚えてる?」

「……え?」

「お互いの部屋には無断で入らないこと、洗濯は各自ですること、千速くんが嫌いなピーマンは入れないこと。よっつめは、──お互いを干渉しないこと」

「……っ」