どれくらいそうしていただろう。

俺は意を決して彼女の名前を呼んだ。



「……ん?」



美生はただ真っ直ぐに俺を見る。

出会った日から変わることない、澄んだ瞳で。

そんな君の目に、俺はどう映っていただろう。



「今日は、本当にありがとう。……今までで一番の誕生日になった」

「えへへ。よかった」

「俺絶対、今日のこと忘れないよ」

「……うん」



素直な気持ちを素直に伝える……それがどれだけ大切で難しいことか、18歳になって漸くわかった気がする。

……まだ伝えられない気持ちも、臆病なこの胸に在るけど。



「でもなんで……俺の誕生日知ってたんだ?」



ふと、思い浮かんだ疑問を口にする。

記憶をいくら辿っても、美生に誕生日を教えた覚えはない。