箸を止めることなく淡々と言い切られ、まるで、私のことなんてわかるわけないよって言われてるみたいで、悔しかった。



……わかるわけないよ。

だってお前、自分のことは殆ど話さねえもん。



「……そっか」



時々感じる心の距離。

俺にはどうしようもないことをわかっていながらも、どうにかしたくなる。

偶に見え隠れする仮面を暴いてやりたい。

そして、君のことをもっと知りたい。



そう思うのは……俺のエゴかな?





美生の手作りだというケーキも全て平らげ、ぱんぱんに膨れ上がったお腹を抱えながらソファーに体を預けた。

少しして、右隣のスプリングがギシ、と音を立てて沈む。

サプライズの余韻に何も言葉が出なくて、何となくつけたテレビの音だけが部屋に響いた。