予想外のことに、喉がつっかえたみたいに巧く話せない。

ありがとうって、そう言いたいのに、口を開けば違う想いが溢れてしまいそうで。



「準備に予想以上に時間かかっちゃって。待たせちゃってごめんね」

「……全然。そんなの、どうってこと……」



この関係を壊すのが怖くて、尻込みして、今も必死に言葉を選んでる。

やっぱり俺、弱いなぁ……。





一度部屋に戻り、服を着替えて席に着く。

目の前にある豪華な料理に、改めて口元が緩んだ。



「じゃ、食べよっか」

「……あぁ。いただきます」



最初に箸を伸ばしたのは、ローストビーフ。

本当にこれを作ったのか、と確認したくなる程の出来栄えだ。