想いを伝え合い、見事ハッピーエンド。

エンドロールが流れる頃には、劇場のどこからかいくつかの鼻をすする音が聞こえていた。



「……」



恋愛映画なんて普段は観ないから、正直よくわかんねぇ。

好きでもなければ、感動もしない。

つーか、こんなに恋愛が巧くいく筈がない。

美生が綺麗だと言った世界観は、所詮こんなものだ。



はぁ、と息を吐いて席を立つ。

上映前に買ったポップコーンのカップは、すっかり空っぽだった。





家に着いたのは6時を5分程回った頃。

陽はとっくに落ちているのに、玄関はおろかリビングの電気もついていないようだった。



「……美生?」



不審に思い、慎重に階段を上っていく。