余計な考えを振り切るように、ぶんぶんと頭を振る。

他のことで脳内をいっぱいにしたい、そう思った俺が選んだ行き先は、映画館だった。





上映終了時間が5時半だという理由で選択したのは、先月の上旬に封切られた恋愛映画。

こんなのを1人で観に来ることになるなんて……。

チケットを買うときなんて、かなり恥ずかしかった。

公開から少し時間が経ってるため、人が然程多くないことが唯一の救い。

幸い、俺の両サイドにも客はいなかった。



上映が始まり、比較的小さなスクリーンに映し出されたのは、最近頻繁にメディアに取り上げられるようになった若手女優と、子役時代から絶大な人気を誇る俳優だった。



『出会ったときから、ずっといいなって思ってて。話すようになって、もっと好きになった。こんな俺でよかったら、ずっと傍にいてほしい』