「お前はまだいいじゃん、机なんだし。俺なんて昇降口だぞ」

「わはっ、さっむ!」

「笑うなよ。……お前にもじき回ってくるぞ。それも、冬ど真ん中の寒ーい時期に」

「嫌や!寒い!逃げる!」

「逃げたらチクってやっからな」

「うっわ、鬼!友達を売るなんて最低!」

「笑った罰だ」



顔を勢いよく上げた桜井にデコピンをお見舞いしてやると、キッと俺を睨みつけられた。



「痛い!なんだよ今の!」

「急にデコピンしたくなって」

「なんで!」

「……そこにデコがあったから?」

「お前は登山家か何かか!」



ギャーギャーと騒ぐ俺と桜井に、周りにいたクラスメート達がくすくすと笑う。