俺の返事に、美生は幸せそうに笑う。



「えへへ」

「……なんだよ」

「千速くんが喜んでくれる……それだけで、ここに来た意味あったなぁって」



一瞬にして、美生の雰囲気が変わる。

いつもの元気発剌とした印象より……今はどこか儚げな。



「……ほら!私、家出娘だからさ!家出してきてよかったって、そう思って」



それは……



「よくないだろ、家出は。……今頃、みんな探してるんじゃねえか」

「あはは、居座らせてくれてる千速くんがそれ言うー?」

「なっ……それは、お前が好条件提げて来るから!」

「見事に食いついてくれたよねぇ」