……え。



「なんで……泣いてんの」



頬を濡らす雫を拭ってやると、美生は小さく笑って。



「あはは……なんでだろうねぇ……」

「……」

「……」



頬から頭に手を移し、さらさらな髪を撫でながら彼女の次の言葉を待つ。

そんな俺に観念したのか、美生は困ったように小さく笑った。



「……ごめんね、泣きたくなかったんだけど」

「……うん」

「最近、千速くんと過ごす時間が少なくなって……、勿論、クラスの人と仲良くなったのはいいことなんだけど」

「……っ」

「……少し、寂しかったから。だから……嬉しかったの。千速くんが私のためだけに、こんな風に汗をかいてくれたことが」