そして、小さな声を上げた。



「わ……」



後ろ向いている美生の表情は見えないけど、容易に想像出来る。



「……星はあんまり見えねえ街だけどさ、見方を変えればこういう良さもあるんだよな」

「……っ」

「昔から住んでる筈なのに、最近連むようになったヤツに教えてもらうまで、俺も知らなかった」



地上に星が降っている──その言葉がぴったりだと思うけど、そんなクサいことをさらっと言える性分ではない。

口で伝えるのは昔から苦手で、巧く言葉を選べないけど、その分、行動で示すから。

君への、感謝の気持ちを。



「……綺麗……」

「……だろ?」

「うん……」



会話が続くことはなく、俺達はただ黙ってその景色を眺めていた。



それからどれだけ経っただろう。

ずずっと、鼻をすする音が聞こえた。



「……美生?」

「……な、に」

「……」



震えている声に、思わず美生の前に回り込んで顔を覗き込む。