なんで、いきなり、どうしたの。

そんな美生の心の内が、透けたように見える。

俺らしくないって、自分でも思うけど。



「テスト勉強の気晴らし。付き合ってよ」





美生を後ろに乗せて漕いだ自転車は、いつもより少しだけ重くて、だけど全然苦なんかじゃなかった。

2人分の重さが独りじゃないことを教えてくれる気がして、それが力になって寧ろ自転車はスピードを増した。





高台への坂道を登りきったところで、一気に疲れが押し寄せた。



「はっ……はぁ」

「だ、大丈夫⁉︎」



大丈夫、と言葉を返そうとするも、荒い吐息が邪魔をする。

そんな俺を見る美生の顔は、いつになく不安げだ。



違う、そんな顔させたいんじゃなくて、



「見て、後ろ」



やっとのことで絞り出した声に、美生はゆっくりと振り向く。