「変じゃねぇよ、いつも通り」

「嘘!なんか違う!」

「なんかって何?」



俺からの問いかけに、美生はぴたりと動きを止めた。

そして、俺をジロジロと見ながら首を傾げる。



「なんだろう……見た目はいつもと変わらないんだよね……。でもなんか違う……」

「ちょ……ストップ!そんなに真剣に考えなくていいから」



慌てて美生に歯止めをかけ、俺は靴を投げ捨てる。



「ちょっと待ってろ」



それだけを言い残し、俺は階段を駆け上がった。

自室の扉を開けた俺には多分、転がり込んだ、という表現が相応しい。

椅子に掛けてあった厚手のパーカーを片手に、また急いで玄関に戻る。



なんか……今日は走ってばっかりだなぁ……。



「これ着とけ」

「え……?」

「それだけじゃ寒いだろ」