静かに街を照らす街灯を潜り抜け、漸く前方に自宅を捉える──けど、



「……っ」



ベランダに見えた影に、思わず足を止めた。



「美生……?」



遠くて表情なんて見える筈もないのに、とてつもなく不安になった。

美生がこの真っ暗な夜に溶けて消えてしまうんじゃないかって、そう思ったら怖くて、気付いたらまた走り出していた。





「……っ」



玄関に入って、乱れた息を整える。

全速力は流石にきつくて思わずその場に座り込むと、驚きを露わにした美生が階段から降りてきた。



「そ、そんなに息切らしてどうしたの……⁉︎」

「……っ別に、なんもねえよ」