自分の中に、こんな感情があるなんて知らなかった。

愛しくて切なくて苦しい、そんな気持ちがあるなんて。



「はっ、はっ……」



こんなの、やっぱり人には言えねえよ。

他人に無関心で自分のこともおざなりだった俺に、息を切らしてまで会いたいヤツがいるなんて、キャラじゃねぇ。

キャラじゃねぇけど──今までの自分でいられない程、好きはいつの間にか大きくなっていて。

その気持ちに振り回されるのも、悪くねぇかなって思っちゃうんだ。



「……っは」



この想いは俺を突き動かす原動力になって、足はしっかりとこの大地を踏みしめる。