いきなりの俺の言葉に、みんな驚いた表情を浮かべる……が、すぐにニヤニヤといった笑みに変わる。



「何、女?」

「テスト前に逢引かー?」

「んなわけねぇだろ、馬鹿」



からかい口調の桜井達にチョップをお見舞いしてやる。

女、ってのは間違ってはないんだけど、言えば桜井のことだから揶揄するだろうし、それだけは何としても避けたかった。

だって、俺達の関係を問われたって答えられないから。



「これ、金。足りるよな?」

「おー、大丈夫」

「悪いな。じゃ」



財布から出した金を相川に預け、俺はやっぱり早足で店を出た。

早足はやがて駆け足になり、君のいる家へと向かっていく。