みんなパラパラと教科書を閉じ始める。

俺も例外ではなく、一度背伸びをしてからシャーペンを筆箱に直した。



「今何時?」

「7時半」

「もうそんなに経ってんのか」



ガラス越しに店の外を見るとすっかり景色は真っ暗で、冬をすぐそこに控えた冷たい風に顔を顰める人が見てとれる。

そろそろ衣替え終わらせねえとなぁ……。



「そうだ。テスト明けたらどっか遊びに行かん?」

「いいね。その日だけは受験とか忘れようぜ」



桜井の提案にみんなが食らいつき、話はスムーズに進んでいく。

あ、でも俺……。



「千速は?行ける?」



その問いかけに、俺は咄嗟に笑顔を作って。



「あぁ、大丈夫」