「俺模擬店やりてえ!」

「私、劇がいいなー」

「劇とか練習かったりーじゃんか」



意見のぶつかり合う教室。

勿論、そこに参加はしない。



「意見が出てる劇と模擬店って具体的に何やんの?」

「白雪姫とかシンデレラとか!」

「げっ、お前夢見すぎだ!ここはかっこよく執事喫茶とか」

「それこそダサいって」



意見の纏まらない教室に飛び交う沢山の声に、思わずこめかみを押さえる。

眉間に皺が寄るのを感じながら、俺は頬杖をついて窓の外を眺めた。



「……」



風に揺れる木の葉は茶色く染まり始め、秋の訪れを感じさせる。

日本に四季があることにすら、嫌気がさす。



「……はぁ」



昔の自分なら、こんな後ろ向きなヤツがいたらムカついてたんだろうなぁ。