俺の言葉に短く返した美生は、何かを思い出したように声を漏らした。



「何?」

『や……あの、嫌だったらいいんだけど』

「うん」

『千速くんの昔のアルバムとか見たいなーって思ったり……』



いつもの美生からは考えもつかない程の弱々しい声。

多分、断られると思ってるんだろな。



「……いいよ、別に。つっても、そういうの作る親じゃねえし、小学校のときの卒アルとかしかないだろうけど」



それでもいいなら、と言ってやると、途端に電話の向こうの声が弾む。



『ありがとう!早速探してみるね』

「おー。……でも、なんで急に?」

『この前のゲームはあらかたやり尽くしちゃったから、暇で。ふと、千速くんの小さい頃見てみたいなって思ったの』

「……馬鹿、そんないいもんじゃねえぞ」

『それでもいいの』



馬鹿は一体どっちだ。

こんな些細なことが嬉しいだなんて。