テストまであと5日、こんな調子で本当に大丈夫なのか……?



「ちょっと電話してくる。先行ってて」

「おー」



桜井達と別れ、屋上へと続く階段を上る。

通い詰めていたこの場所へ来るのは、本当に久し振りだった。

ブレザーに突っ込んでいたケータイを取り出し、電話帳から自宅の電話番号を呼び出す。



──プルルルル……

コール音が鳴った後、一度電話を切る。

画面をタップしてもう一度掛け直すと、耳元で聞き慣れた声がすぐに響いた。



『もしもし』

「あ、……美生?」



いつもより近くに聞こえる君の声に、心拍数が少し駆け足になる。



『うん。……どうしたの?』

「悪いんだけど、今日もクラスのヤツ等と勉強して帰るから、遅くなる。先に寝ててくれて大丈夫だから」