今日は文化祭だから。

色んな人に沢山の言葉を貰った日だから。

普段なら到底言えないようなことも、少しの勇気で口に出すことが出来た。



「あ……わ、私も──」

「千速ー!」



何かを言いかけた芹沢の声を遮ったのは、遠くで相川達とはしゃいでいる桜井だった。



「何してん!お前もこっち来いよー!」



いつになくハイテンションな桜井に、最早笑うしかない。

これは……早く行かないと、また何か言われるパターンだな。



「言いたかったの……それだけだから。じゃあな」

「あっ……」



沢山の視線を背中に受けて、桜井達の元へと駆けていく。

ひとつ、自分の気持ちを正直に伝えられた達成感が生まれ、その足取りは軽快だった。



「遅いぞ、綾瀬」

「ほんまやで!待っとってんからな!」

「桜井、お前……酔ってる?」

「んなわけあるか!」