冷静に考えてみれば当たり前のことに、自分の小ささを感じた。



「……あ」



ふと、今日中にやってしまわなければならないことを思い出す。

それは、多分今日を逃せば出来ないこと。

それを実行するために、俺はゆっくりと立ち上がった。





キャンプファイヤーを囲む輪の中に、その人物はいた。

少し躊躇ったものの、今日は高校最後の文化祭だから、と自分の中で意味もなく理由をつけて近付いていく。



「芹沢」



俺が名前を呼ぶと、芹沢だけでなく周りにいたクラスメート、そして他クラスのヤツまで驚いていて。



こんな大人数の前で言う必要はねぇよな……。

……けど呼び出す程のことでもないし、何より、また桜井に何か言われそうだ。



取り留めのない考えが頭の中で駆け巡り、俺は高を括った。



「……準備」

「……え?」

「文化祭の準備。一緒にしてくれて……ありがとな。おかげで、楽しめた」