通り抜ける風も、当たり前に伸びる影も、全てが俺を億劫にさせて。



「……はぁ」



美生との出会いもきっと大したことではなくて、面倒くさい仕事をしてくれる人間が現れただけだ。

高校に入ってあれだけ人と関わることを拒んできたのに、と思うと少し呆れるけど。



「……邪魔になるわけじゃねえしな」



アイツが何を思ってうちに泊めてくれと言ったのかはわからない。

知る必要もない。

だって、それが俺達の決めたルールだから。





6時間目のロングホームルームで、それは発表された。



「もうすぐ文化祭があります。何かしたいことはありますか」



委員長が教卓の前に立ち、教室全体に問い掛ける。

ざわざわと盛り上がるクラスメートを横目に、俺は溜め息を吐いた。



来たよ、面倒くせえ行事が……。