だから俺は──



「綾瀬って……そんな顔もするんだな」

「え……」

「今、すっごい優しい顔してるよ」



言われて、また恥ずかしくなるんだ。



俺も知らなかったよ。

自分にこんな感情があるんだってこと。

美生に出会わなきゃ、きっと一生気付かないままだった。



「時々……不安になる」



美生は俺の世界を照らした。

俺の世界を変えた。

だからこそ。



「アイツが俺の前からいなくなる日が来たとき……俺は、ちゃんと送り出してやれるのかな」



一生の別れではないと思う。

一生の別れになんかさせない。

だけど、まだ高校生の俺達が今の生活を続けていくには無理がある。

美生本人も言ってた、いつか訪れる“別れ”を前に、俺は真っ直ぐに立っていられるのだろうか。